予防接種
小児科専門のクリニックで
生後2か月、開始です。早いほど、良いです。小児科医は、こどもの体調(心音、呼吸、皮膚など)を常に確認しています。かかりつけ医なら育児上の疑問に細かく対応できます。予防接種では、注射部位の発赤・腫れ、発熱など副反応は避けられません。接種前の状態や接種後の体調変化に対応できる小児科施設で接種することを勧めます。
乳児期(当院の推奨方法)
当院にカルテのない児は、28-8686に電話下さい。事務員がご案内します。
カルテのある児は、予約を取ってから受診ください。この年齢ではワクチンの時間帯がお勧めですが、診察の時間帯でもワクチンを実施しています。
一番最初、B型肝炎を注射し、その際ロタワクチンを内服します。ロタワクチンには2回法と3回法がありどちらかを利用しますが、有効性や副反応の頻度に差はありません。
スケジュールはその都度説明しています。
注射の同時接種は2つまでにしています。副反応の場合、原因を特定しやすいからです。副反応を強く懸念する場合、1つずつ接種します。
1才以降
- 1才~:MR、水痘、5種混合、肺炎球菌
- 3才~:日本脳炎
- 年長児:MR
- 9才~:日本脳炎
- 11才~:2種混合
- 小6~:子宮頸がん
任意接種
- 6か月:インフルエンザ(予約はなし)
- 1才~:おたふくかぜ(市民に補助あり)
- 特殊ワクチン:10才以上のB型肝炎、狂犬病、A型肝炎、髄膜炎菌
海外留学・移住の際、電話などで相談ください
予防接種前の確認事項
- 当院では、ワクチンの予約は不要で、随時対応します。受付で希望するワクチンを申し出てください。
- 本人確認のため、保険証、いわき市受給者証、親子(母子)手帳を忘れず持参下さい。
- 当院にカルテのない方は、生後2か月以降に直接(14時がお勧め)来院してください。カルテがある場合、受診時刻をネット予約してください。
予防接種の意義
生命に関わる疾患で世界的大流行を起こすパンデミックは、人類の歴史上、ペスト、天然痘、コレラ、エイズ、インフルエンザなどで起こりました。今回の新型コロナウイルス感染症もこれに含まれます。
致死的疾患では治療法が研究・開発されますが、最も効果的なものが予防接種です。1700年台後半、イギリスのEdward Jenner が世界で初めて天然痘に対する予防接種を成功させ、その後世界中に広がりました。
予防接種は、2種類に分けられます。病原微生物の病原性を弱毒化させた生ワクチン(麻疹、水痘など)、病原微生物の一部あるいは毒素などの不活化ワクチン(5種混合、日本脳炎など)です。
ヒトに投与し免疫反応を起こさせ、疾患の発症予防・重症化予防を目指します。
その際、期待していない発熱、腫れなどが起こり、「副反応」と呼ばれます。ある程度発生しますので、その効果と副反応の程度を天秤にかけ、接種の是非を判断することが大切です。やみくもに恐れるものではありません。
子宮頸(けい)がんワクチン
このワクチンは、肩への筋肉注射で、痛みが強いのが特徴です。
日本は、40年以上前に注射による強い副反応があったため、ワクチンを皮下注射する稀な国で、海外では筋肉注射が基本です。
思春期の女子が、注射が嫌い・怖い、あるいは痛みに敏感な場合、このワクチンを肩に垂直に注射し強い痛みを伴うことは大変なストレスと想定されます。
当院では、本人と家族がワクチンの効果を期待し、痛みを許容できる場合にのみ接種します。
子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染後に発症します。2006年HPVの2種類に対するワクチンが開発されました。この2種類は、日本人子宮頸がんの原因の約66%に相当します。4種類へのワクチンも同じ効果です。2023年9種類に効果のあるワクチンが利用可能になり、これは約88%に相当します。接種者が多くなれば、がんの発生は大きく減少すると期待されます。
日本では、このワクチン接種後に「疼痛、しびれ又は運動障害を中心とする多様な症状が起きた」と数十人以上が申し出ました。厚労省は平成25年「積極的勧奨を差し控える」と通知し、事実上中止となりました。
・ワクチン接種が契機になって発症したことは十分考えられています。
・医学的に明らかな病変が確認できていません。
・ワクチン接種後1カ月以上経過してから発症した人がいます。
・ワクチン未接種者で同様の症状を呈している人が一定数います。
診療や詳細な調査・研究を継続していますが、「ワクチン接種と因果関係がある」とは、10年経過した今でも証明されていません。
厚労省は令和3年11月「積極的勧奨を差し控える」を終了することが妥当であると、事実上ワクチン接種の再開です。
・令和4年4月以降、市町村長は個別の勧奨に努める。
・接種後に体調の変化を感じた際に、十分な相談支援体制や医療体制を確保する。
対象者は小学6年~高校1年生です。
この時期、心身の状態が不安定になりやすく、また注射をいやがる人もいます。他方、大人へ一歩踏み出す時期でもあります。本人・家族がこのワクチンのメリット・デメリットについて話し合うことが大切です。本人が主体的にワクチンの是非を決定し、周囲が強要するものではないと考えます。
よくある質問
本人確認のため、保険証、いわき市受給者証、親子(母子)手帳を忘れず持参下さい。
当院では、ほとんど全てのワクチンに対応しております。しかし、次のワクチンは、要望が稀であるため、あらかじめ予約をお願いしています。
・子宮頸がんワクチン
・10才以上のB型肝炎ワクチン
・狂犬病ワクチン
・A型肝炎ワクチン
・髄膜炎菌ワクチン
平成25年実質的に中止した後、約8年間、治療・調査・研究が行われました。その結果、ワクチンと「疼痛や運動障害などの症状」との因果関係は証明されませんでした。ワクチン接種後、症状が顕著になったことは明らかですが、患部の組織に明らかなダメージやアレルギー反応を確認できていないのです。「他の要因の可能性」「ワクチンと無関係」の考え方になってきていますが、断定できていません。
海外では接種が進み、パピローマウイルス感染症が減少しています。さらに子宮頸がんの減少傾向が見られていることから、ワクチンのメリットを考慮し再開になった訳です。
新型コロナワクチンを嫌がらずに接種し、強い副反応がなかった方には、強く勧めます。